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アオモリコネクト特派員のかんからです。 んーー、非常に辛い事態になってしまいましたけど、このニュースは衝撃でございました。
2021年6月2日
青森ねぶた祭、2年連続で中止へ
2年ぶりの開催に向け準備を進めてきた今夏の青森ねぶた祭(8月2~7日)について、中止する方向で検討が進められていることが1日、東奥日報の取材で分かった。今後、青森ねぶた祭実行委員会(委員長・奈良秀則青森観光コンベンション協会会長)に中止を含め開催の可否をあらためて諮り、実行委が最終的に判断する。中止が決まれば2年連続となる。中止の場合は代替イベントの開催を検討するもよう。日程や内容は今後詰める。
青森ねぶた祭、2年連続で中止へ|観光・イベント,行政・政治・選挙,文化|青森ニュース|Web東奥 (toonippo.co.jp)
ここまで至る顛末は
5/11(火)、三社大祭 合同運行見送り 5/25(火)、五所川原 立佞武多 中止 5/26(水)、 黒石よされ 中止 5/27(木)、弘前ねぷた 合同運行中止、大湊ねぶた 中止 5/31(月)、黒石ねぷた 中止 そして6/2(水)、青森ねぶた祭も中止へと舵を切りました。 ・ ・ この判断の引き金になったことの一つに、こちらのニュースがありました。
これは、県感染症対策コーディネーターを務める弘前大学医学部付属病院感染制御センターの萱場広之センター長など3人のグループが分析したものです。 それによりますと、弘前保健所管内では、弘前城の桜が満開になった4月中旬から、1、2週間後に新たな感染者が増え始め、感染経路がわからない人も5月上旬から急速に増え始めたということです。 グループでは、弘前駅前に青森県外から訪れた人が4月下旬に増えたことなどから、「弘前さくらまつり」に伴う往来が増えたことが感染拡大の一因になったと分析しています。 “弘前さくらまつり期間中に人が流入し感染拡大か”|NHK 青森県のニュース
別の記事だと、弘前駅前の乗降客数が2019年に比べて約1.5倍に増えたとおっしゃってましたけど、あれ?弘前さくらまつりは例年200万人の入場のところ、今年は20万人なんだそうな……。(内約:市内からの入園は19日間で6万7809人、市内を除く県内は7万1935人、県外は6万7388人) じゃあ駅から降りた分の人って、どこへ行ったんですか。というか “1.5倍” というけども、その1.5倍は何人なんでしょう?? ということで調べてみると、例年の乗降客数は1日9千人前後らしいですね。月に直すと27万人。桜の時期はこれよりも多少は上振れすると考えると……30万は超えると思われます。 ですがここで思考を終えてしまうのは、危ないことです。新聞記事の元となったデータを見ることが出来なかったので不明ですが、この場合は比較対象となる駅を用意しなければいけません。なので弘前駅で仮に1.5倍でも、八戸駅や青森駅で2倍だったらデータとして成り立たなくなる羽目に。強いて言うならば、”乗降客数” ということは……降りる人もいれば、また乗って帰る人もいるわけです。弘前駅に来るためには、他の駅から列車に乗ってこなければいけません。なので初めて列車に乗車した駅の数値も上がっている可能性があります。切符を改札機に通した時のデータとか収集してないですかね? こういうことなので……できれば元データを読む機会にあやかりたいです。
青森県に来ていた人は、どれくらいか?
・ 先ほど僕はあのようにいいましたけど、鉄道の乗降客数は僕も注目してまして。この新聞記事が出る前に、僕はデータを仕入れることができないか某所に打診してました。でも残念ながらその方にも手持ちがなく、この記事には利用できません(´;ω;`) なんでこのデータが使えるかというと、もちろん弘前に行こうとすれば乗り始めた駅の乗降客数も上がるのですが、やっぱり降りる駅に人はそれ以上に集中するのです。各所にちらばっている”乗りはじめた駅”の人流が、一ヶ所に向かうんですから当然です。それに加えて乗り降りの時間が分かれば完璧です。例えば弘前駅に降りる人が日中に増えて、日が落ちてくるにつれて乗る人が増えれば、日帰りのお客様が多いという事であるし。逆に終電間際に弘前駅で降りる人が激増してるのなら……夜桜&宿泊メインか、もしくは他地域から帰ってきた現地住民かのどちらかです。 ひとまずは鉄道の乗降客数データは手持ちにないので、代替データを用います。
青森空港 旅客乗降客数
青森県 宿泊施設入込客数



青森県 観光施設入込客数
月例観光統計について|青森県庁ウェブサイト Aomori Prefectural Government こちらのグラフでは、県内における人流が観光またはビジネス目的で来ているのかが、宿泊入込客数と比較することで分かることが出来ます。例えば宿泊者数が上昇してて観光施設の入込客数も上昇しているとしたら、観光目的で泊まりに来ている人が多くなっていることがわかります。宿泊者数が増えているのに、観光施設入込が横ばいか低下しているのなら、それは宿泊におけるビジネス需要の高まりを示します。そして宿泊者数が横ばいか減っているのに観光施設入込が増えているとしたら……県民の観光需要の上昇と、日帰り客の増加を示します。 次の話題で地域ごとの人流を調べていくことになりますけど、こちらのデータも地域ごとに存在しています。なので比較対象の資料として大変価値があります。 2021年の初めから、観光需要は継続して増えていたんですね~。 ・ ちなみに2019年の観光施設における入込客数構成は、以下のようになっています。
青森県観光入込客統計
弘前へ来た人は、実態としてどれくらい?
・ このグラフは2019年1月を”1″と設定し、各地域の宿泊施設数による違いを除したものです。 確かにこれで見ると、20年5月に宿泊者数が底をついたのは各市に共通していえます。加えて青森市が20年10月に1.58倍を記録したところを見ると、経済政策の恩恵を一番受けたのは青森市だとわかります。他市に比べて元々の観光需要が高いことが原因です。 20/12/28にGOTOトラベルが停止し、次いで2/28に6府県で緊急事態宣言が先行解除、3/22に残る1都3県も解除。しかし青森県は宣言を受けていないこともあり、宿泊需要は21年1月を底にして以降、すでに2月から上昇を開始しています。 ・
・ しかし3月に青森市における新型コロナ感染者数の増加を受け、4月は弘前を除いて各市ともに宿泊者数は減少。軒並み各地域ともにイベントが中止されていく中、弘前さくらまつりを開催したので、弘前市の観光需要が高まって宿泊者数が伸びるのは当然のことでしょう。 これが果たして観光目的での宿泊かビジネスなのかも推定してみましょう。観光目的の方は複数人で行動するケースが多く、感染リスクは若干上がります。対してビジネスなら一人で行動するケースが多く、外食しても孤食となりますので、感染リスクは相対的に低いです。 ・
・ 確かに弘前市立観光館の入込客数が4月にしっかり増えているところから見ると、宿泊も観光目的の人が多いのは想像できます。弘前駅の乗降客数が2019年の約1.5倍だという話は冒頭でしましたけど、これを併せて考えると、県内の日帰り客が増加したようです。大きくウェートを占めていたはずの県外客が減少したので、祭りに来る観光客は1/10となり、それに伴う宿泊の総数自体は2019年に比べ減少。(若干集計方法は気になるものの。たしかにいくつかの記事では、例年と祭り来場者数の集計方法が違うと書かれていたような) でも一方で気になってしまったのは、むつ市の安渡館が弘前市以上の上昇を示している点……。 ・ https://twitter.com/eat_pray_love32/status/1401354761895505921?s=20 ・ ・ここで試しに、新型コロナ陽性者数と重ね合わせてみましょう。もちろん観光施設が感染の原因だということではなく、人流の主目的が観光なら活発に行動する可能性が高い、つまり三密になるリスクも高まるという推測を基にしています。 ・
青森県内における新型コロナウイルス感染症の感染動向データ【令和3年6月2日現在】 ・ 3月より青森市が新型コロナ陽性者が増加し、未だ勢いを失っていません。データを見ている感じ3月の前半は陽性者が少なく、加えて宿泊と観光施設入込の伸びは平均と同じ程度だということを考えると……青森市の陽性者増加は人流というよりは、歓送迎会が主たる起因のような気がします。 これまでのデータを総合すると、弘前の場合は主たる要因は人流といえるでしょう。むつ市は宿泊による人流増加はないものの、観光目的の日帰り客が増えていることがわかりました。なのでその日のうちに完結するこそすれ、人流は増加していると伺い知ることはできます。 じゃあ感染リスクを減らすためには宿泊はダメ、観光もダメ!という結論に持っていこうとするのは、実は早計なのです。イベントも一切ダメ!!!というわけではございません。
観光&イベント開催への光明
・ こちらは観光施設入込者の実数値で示しています。先ほどご提示したのは、2021年1月を “1” としたもの。対して実数値で見てみると……ねっ。いくら安渡館や弘前市立観光館の入込客数が増えたと語っても、八食センターに勝てる気しないでしょ(笑) 八食センターは弘前市立観光館の約3倍規模、安渡館に至っては約20倍規模の人流を有しています。 それに加えて八戸では、舘鼻岸壁朝市も開催されてますから。こちらの人ごみを考えると、なぜ青森市や弘前市で感染者が増えて、八戸で増えにくいのかを謎に思う方もおられるでしょう。この点を解説すると、八食センターは前提として観光客以外にも、地元民の食卓の需要があります。これが底辺をうった21年4月でも8万人台をキープした所以です。同じことは朝市にも言えまして、入場してくる方々の構成を考えますと、観光のために浮かれてきているのではなく、日常生活で必要だから来ている方が一定数いらっしゃるということ……。これが数値的に多い理由です。 でも今お話ししたことを考慮に入れても、地元民を入れたところで、その場にいることは変わりありませんから。よく一般的に言われることには、通勤の満員電車ではコロナ感染が起きにくいそうです。 通勤時の満員電車が怖い?新型コロナウイルス感染予防のためにできる対策とは | スペースマーケットマガジン (spacemarket.com) あとは八食センターや朝市で飲み食いをする人も減少しているのかもしれません。その辺りのデータは、現場の人でしかわかりかねますが。マスクを外して飲食し、思わずそのままにしてしまうことは、コロナ感染の一つの要因です。 ・ https://twitter.com/mallboro252/status/1388986977588973568?s=20 ・ これまで色々となんだかんだ話しましたけど、八戸には八食センターのかなりの人流が保たれている施設と、朝市のように密になりやすい環境が存在しているという事。それにもかかわらず八戸での感染者は少ないのです。なので “やり方” によっては十分に宿泊・観光・イベントを開催できる可能性を秘めています。 未然に防ぐ手立てを講じながら、対策の成功している地域に学ぶことも大切でしょう。祭りだからと言って気を緩めず、常に理性的でいられるかもポイントです。 ・ https://twitter.com/into_kankara/status/1400378416717656065?s=20 ・
青森市11施設、弘前市17施設、八戸市17施設、むつ市8施設の宿泊実数。
祭りの後始末…… #ねぶた料金 #ねぶたプラン
・ 多くのホテルにとって、#ねぶた料金 は悩みの種です。普通価格の最安値(=シングル等)を5千円程度に設定しているところを、ねぶた期間は4万5千円ぐらいを相場で販売。通常価格の最高値(=ダブル・トリプル等)は1万円のところ、10万ぐらいが相場でした。ところがねぶたが中止となったことにより、キャンセル料の問題が発生する可能性があります。表に示しているホテルでいえばセレクトイン・JALシティ・スマイル・ルートイン駅前の4社が当てはまりますが、#ねぶたプラン 販売時にキャンセル不可としておりました。基本的には販売サイトの規約により、ねぶたが中止となっても返金されることはありませんが……もし返金を求められたらどのような対応をするか、頭痛の種です。 **JALに関しては方針転換し、キャンセル料全額返還を正式に発表しました** ・・
・ 頭を悩ますホテルを尻目に、東横イン(青森駅正面口)・アートホテル・マイステイズは、 #ねぶた 中止の報道後に通常料金で販売を開始しました。当初から青森ねぶた開催が危ぶまれていたのもあって、これまで #ねぶた期間 の客室販売を控えてきた3社ですが……結果としてその判断に救われた形です。 次に八戸市のビジネスホテルの動向を見てみましょう。
・ 5/11(火)に三社大祭合同運行見送りの報道を受け、ダブル・トリプルルームを中心とする最高値は5/13~5/19にかけて低落いたしました。とはいっても八戸の祭り期間の宿泊料金はリーズナブルでしたし、キャンセル可のプランで全て構成されておりましたので、特に問題にならなかったかと思われます。 一方で八戸市には “高い #ねぶた料金 を設定している青森市内を避けて泊まる需要” というものが存在し、青森ねぶた祭りが中止にならない様子を見て、三社大祭の従来の料金基準へ戻す動きも一部に発生しました。 ただしねぶたが中止と報道されたのを皮切りに、高い料金を設定していたホテルの多くが値下げに転じています。 最後に弘前市はというと…… ・
・ 本当は5/27(木)に弘前ねぷた 合同運行中止の報道がされてますけど、このレートのチェック時はちょうどお昼に行ったので、料金にそのことが反映されておりません。しかし5/30(日)になっても明らかな低落は見られず、これは弘前にも “高い #ねぶた料金 を設定している青森市内を避けて泊まる需要” があるからです。もしくはまだ3日しか経ってなかったので、判断に遅れていただけかも知れませんが。 でもって “青森ねぶた祭り中止へ” という報道を受け、各社ともに最安値を平常価格に戻すに至りました。しかしドーミーイン・パークホテル・ルートインはキャンセル不可として販売をしてきましたので、青森市の4社と同様に料金が返還されることはございません。 スマイルホテルはねぷた期間をざわと販売してきませんでしたが、弘前ねぷたが中止になった途端に通常価格での販売を開始しました。 https://twitter.com/Yado_support/status/1400400242730672131?s=20
ねぶた師・各運行団体への対応は?
2021年6月3日
多くのねぶた師「何とか作品披露の場を」
開催の夢は露と消えた。青森ねぶた祭の2年連続の中止意向が明らかになった2日、多くのねぶた師は「何とか作品を披露する場を」と代替イベント開催を求めた。一番の稼ぎ時をまたも失うことになった青森市の商工関係者は「打撃が大きい」と落胆。新型コロナウイルス感染防止のためにも「中止はやむを得ない」と理解を示す意見は多いものの、「熱い夏」を待ち望んでいた市民は「寂しい」と胸を痛めた。 多くのねぶた師「何とか作品披露の場を」|経済・産業・雇用,観光・イベント,文化|青森ニュース|Web東奥 (toonippo.co.jp)
https://twitter.com/nhk_aomori_pr/status/1400050812995444736?s=20 ・ いったい、どうなるのでしょう……。