りんごの里を駆け抜ける伝統のマラソン
青森県弘前市を舞台に開催される「弘前・白神アップルマラソン」は、日本一のりんご生産量を誇る地域の魅力を満喫できる人気のマラソン大会です。コース沿道に広がるりんご畑の香り、雄大な岩木山の景色、そして世界自然遺産の白神山地を望む風景がランナーを魅了します。この大会は、単なるスポーツイベントではなく、地元の文化や歴史を体感する機会としても知られています。2025年現在、第23回を迎えるこのマラソンの歴史を振り返ってみましょう。
弘前・白神アップルマラソン実行委員会 (@apple.marathon)
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起源と開催の始まり
弘前・白神アップルマラソンの起源は、青森県のりんご産業に深く根ざしています。青森りんごの歴史は、1875年(明治8年)に県庁構内に3本の苗木が植えられたことに遡り、2025年で植栽150周年を迎えます。この節目を記念し、大会ではりんごの振る舞いや関連イベントが取り入れられています。 大会自体は2003年に第1回が開催され、以来毎年秋に実施されてきました。りんごの収穫期である10月に設定され、弘前市の観光振興と健康増進を目的にスタートしたのが始まりです。当初から、弘前市内から西目屋村(白神山地方面)へのコースが特徴で、りんごの里から世界遺産への道を走るというコンセプトが好評を博しました。
第1回からフルマラソン、ハーフマラソン、10km、5km、3kmの種目が用意され、幅広い年齢層の参加者を集めています。弘前城周辺をスタート地点とし、江戸時代に築城された約400年の歴史を持つこの城下町から出発する点も、歴史的な風情を加えています。 初期の頃は、地元住民のボランティアによる給水や応援が大会の温かさを象徴しており、参加者数は年々増加しました。
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コースの特徴と進化
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大会のコースは、弘前市の追手門広場をスタートし、岩木川沿いやりんご畑を通過して西目屋村へ向かいます。フルマラソンは往復コース、ハーフマラソンはワンウェイで西目屋村フィニッシュという設定が基本です。沿道ではりんごの香りが漂い、エイドステーションで新鮮なりんごが振る舞われるのが名物です。 また、岩木山登山ばやしや弘前ねぷたまつりの演奏がランナーを励ます文化的な要素も取り入れられています。これらは、弘前の伝統行事として国指定の重要無形民俗文化財に登録されており、大会の独自性を高めています。
COVID-19の影響下でも、大会は感染対策を講じて継続され、2022年の第20回頃から参加賞の選択制(バスタオルや地元産米)やWeb完走証の発行が導入され、利便性が向上しました。 「お城マラソン」加盟大会として、完走者に「完走タイム入り御城印」が授与されるのも、歴史的な弘前城との連携を象徴しています。
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過去のハイライトと著名人
マラソンYouTuberこわだ君🗽🏃♂️https://x.com/libertyRuning/status/1974622689169195051
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これまでの大会では、数々のドラマが生まれました。2022年のフルマラソンで優勝した古和田翔平選手(当時箱根駅伝経験者)は、2025年の大会に招待選手として登場し、注目を集めています。 また、ゲストランナーとしてオリンピック4大会連続出場の福士加代子さんが参加し、りんごの匂いや岩木山の景色を称賛するメッセージを残しています。
ボランティア活動も活発で、2019年の第17回では、地元大学の学生が救護支援や選手誘導を担い、地域コミュニティの結束を強めました。 参加者からは「アップダウンが多く難易度が高いが、景色が最高」との声が多く、初心者から上級者まで楽しめる大会として定着しています。
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現在と未来への展望
2025年の第23回大会は、青森りんご150周年をテーマに、りんご並木の「アップルロード」を走るコースが強調されています。 前夜祭や抽選会、観光連携(弘前城、ねぷた村、温泉など)が充実し、ランナー以外の観光客も楽しめるイベントとなっています。将来的には、持続可能な大会運営を目指し、環境保護や地域振興をさらに強化していくでしょう。 ・
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弘前・白神アップルマラソンは、20年以上の歴史の中で、りんごの里弘前の魅力を世界に発信してきました。自然、歴史、文化が一体となったこの大会は、ランナーにとって忘れられない体験を提供します。興味のある方は、公式サイトで最新情報をチェックし、参加を検討してみてはいかがでしょうか。