先日ネットで「お座敷えんぶり」なるものが開催されると目にし、喜び勇んで足を運んでみた。三社大祭の山車組にも、えんぶり組にも縁が無かった私だが、何故だか祖父に連れられてえんぶりを何度か観に行った。実は彼がえんぶり組に入っていたことを家を出る直前に家人から聞いた。
会場は八戸市小中野の常現寺。駐車場にはまだ結構空きがあったので、やっぱりローカルイベントなのかと少し淋しく感じた。しかし本堂に入ると満員の観客。近所の方々だろうか。こんなに人で満たされた空間を久々に見た。
本堂には金屏風が広げられた舞台が用意されていた。照明に音響も設置され、カメラマンが数名スタンバイしていた。(当日は上演の模様をライブ配信していた)「あれっ、歌舞伎観に来たんだっけ?」こう言う芝居みたいな演出でやるんだ!とびっくりした。
いよいよ開演!えんぶりの出囃子が鳴り響く。アツいわぁ・・・と思っていたら、それは開演の挨拶としての出囃子だった。イメージとは違う自由度の高い演出にワクテカした。その後も南部手踊りのチーム「小柴社中」の演目では、舞もさることながらその衣装!扇子を鉢巻でヘッドドレスのように頭に着け、黄色と黒のストライプの袴、、、絶対悪口ではない、と言うことを明言して私の感想を述べるとレディガガか仮面ライダーの女怪人か!と言うくらいアバンギャルドで良かった!
また、小中野えんぶり組の「苗取り」ではスマホをいじって稼がない若者を表現していたり、「杓子(しゃくし)舞」では伝統的なえんぶりのお囃子や台詞回しに現代の表現を載せた、新作落語のようなスタイルで見せてくれた。
途中、小中野えんぶり組保存会長からのトークで、「今から80年ほど前、踊りをやって行こうとしたら親戚から母親がなじられるので国鉄に勤めた」と言うエピソードを話していた。「青森には何もない」と言うフレーズがあるけれど、今日もこうしてえんぶりが観ることができるのは、想像以上に色々な人の関わりがあったのだろう。普通の人々の暮らしの中で、田植えや漁を舞やお囃子に落とし込んではそれを洗練させ、煌びやかな衣装で着飾って表現するのは、きっと時代時代で情熱を注いだ「愛すべき変わりもの」が居てくれたからなのでは?と思った。小中野のMIKIKOや南部のアレッサンドロ・ミケーレ、売市の坂本慎太郎などが。。。
色々な想像に思いを馳せさせた最高の一夜だった。
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