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アオモリコネクト特派員のかんからです。
Youtubeはみんなも見てますか?今や日常に欠かせぬ娯楽の一つであり、僕なんかも毎日スマホで見ています。僕の好きなジャンルといえば……大河ドラマの解説動画や戦略ゲームHoi4のプレイ動画ですかね~。もちろん大河ドラマ以外の歴史系も好きですよ!そんな風に視聴者側であれば好きなままに自由に見てるとは思うんですけど、いざ自分が “見せる側” であれば厳しい道が待っていたりします。色んな人に見てもらうためにはどうすればいいか?コンテンツの充実やら内容の濃さやら、あるいは初見さんでも入りやすい雰囲気を作るとか。考えることはたっくさんあるわけです!
今回はとあるYoutubeチャンネルを取り上げてみます。そのチャンネルの運営者を通じて、知られざる世界をご紹介してみようと考えています。
Youtubeチャンネル #東奥見聞録
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こちらのチャンネルでは主に青森県にまつわる歴史、特に戦国時代から江戸時代初期を中心とした内容の動画を出しています。もちろん歴史はその限られた地方で完結するものではないので、時には青森と中央の関係性も絡めて、あるいは訴え方を変えて “朗読風” なものを作るときもあります。
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Youtube管理人 東奥人さん
青森県は津軽五所川原と南部野辺地の混血。 五歳の時に離れた生まれ故郷を調べ過ぎてこじらせ、四十過ぎてゆっくり解説動画を作るに至る。 歴史、地理、特撮、アニメ好き。城プロre、アリスギアとかソシャゲもやってる。 レンズ沼とドール沼も少し足入れてる。
Youtubeチャンネルを始めたきっかけは?
【ゆっくり解説】津軽と南部の青森県(後編)~二藩で一県~ – YouTube
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父は津軽人(五所川原)、母が南部人(野辺地)で私が生まれ、それで親父は転勤族で家族丸ごと東北あちこち行きまして。
生まれ故郷の記憶の薄い自分にとって、『昔、津軽為信というズルスケがいた』という父親の話が記憶に残り、歴史好きだったのもあり、二十代の頃大学で卒論にしようと思ったけど教授に却下されたんです。学生が半年一年の卒論で作るには余りにテーマが広いと(笑)
それで一度諦めたけど、未練がましくその後も青森戦国史の資料や本、小説は買って集めていた。妻と知り合ってすぐの頃には向こうも歴史好きだから何遍もその辺語って聞かせて、彼女は広島生まれなのにそこらの人より陸奥の戦国史に詳しくしてしまい、信直の腹心北信愛が推しになってしまいました(笑)
そして数年前Twitterで知り合った友人が『弘前城にも武将隊がいたらいいな』って呟いたら『南部の気持ちも知らずに不謹慎!』と言われたと聞いて、「いや、津軽はこうこうこういう理由でご謀叛つかまつったけど、南部だってこうこう様々事情があって津軽だけが十割加害者とはならないんですよ」と説明したら、「相手の事情もちゃんと説明してくれて、OOさんの話はとてもよく分かる、南部の歴史にも興味が持てました、ありがとう」と言ってもらえて。
それで大学出てからだいぶ経ったけど、こういう形でなら卒論のリベンジ出来るのかなって思って。それから歴史ゆっくり解説やそれ以外のジャンルの解説動画も見て、動画の作り方を勉強して、チャンネル開設を目指しました。
コンスタンスに続けることのできる秘訣は?
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コンスタンスとは実は自分で思ってなくて、You Tube動画って個人と団体で上げてる方がそれぞれいるのは知ってるけど、皆さんハイペースで次々更新されるから、つい、いかん自分は遅筆だ!っていつも焦ってるんです(笑)
ただ、どうせやるならどれだけ時間はかかっても、やっくんどくなってもいいから、自分の知ってる知識の風呂敷を拡げて、A,B,Cって説があって、私はAだと思います。なぜなら…ってきれいに風呂敷畳むとこまで説明したい。その『語りたい』欲求がモチベーションかもしれません。
#ボイスロイド に語らせる上での仕組みやコツ
ネット上の動画には #合成音声ソフト が多く使われている。 #ボイスロイド もその中の一つ。ソフト全体に言えることだが、自分が顔出ししなくても良いという点があり、つまり自分とは違う存在に語らせるということ。様々な題材に用いられうる “利便性” が存在する。
VOICEROID (ボイスロイド)は、 AH-Software が発売している読み上げ用音声合成ソフト
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YMM4(ゆっくりムービーメーカー4)で編集するにおいて、音声読み上げソフトのAquestalkや最近拡張で入ったVOICEVOXは、YMM4のソフトの中で発音や読み方を調整できるんですよね。
ゆっくりMovieMaker4 | 饅頭遣いのおもちゃ箱 (manjubox.net)
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私はそんなことに気付かず、声がきれいだからとボイスロイドを使いだしたら、そこまでYMMとの連携が出来るように作られてなくて、今はVoiceroidUtilというサードパーティソフトでどうにか編集を簡略化しています。
でも、歴史的用語や人名は苦労しますね、為信は『ためしん』、信直は『しんすなお』、政実は『せいじつ』、三成は『みなり』とかソフト上で単語登録しているのにAIが前後の文脈から勝手に判断して読んじゃう。文節全体を修正したくはないから、前後の単語や文体をいじったり、文節に読点一個打つだけで解決したり、それでもダメなら平仮名で読ませてから後で画面字幕を漢字に直すとか(笑)色々試行錯誤してます。
制作での苦楽、まで~に作っています。
まで~に:津軽弁で丁寧に、しっかり、ちゃんと
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歴史解説ですので、資料の読み込みに数日。それを時系列なり、説明しやすく語りなおす原稿にリライトしてwordに打ち込んで10時間くらい。
それをさらに動画として編集を開始すると、25~30分の動画なら下手すると動画加工時間は15~20時間になるかもしれません。
資料の説明を簡略化したり、茶番をしなかったり、ずっとキャラ棒立ちで構図を変えずにしゃべらせ続ける、合成音声の誤読をそのままでもいいから完成を急げばもう少し早くなるかもしれませんが…モツケにかかってオタク向けのマニアックなボケを入れたり、キャラクターたちで遊んで効果音とか画面のエフェクト編集とかが手間かかる。苦しい楽しみと分かりながら自爆覚悟で突っ込んで行ってます。
ピックアップしてほしい動画を挙げてください。
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動画作り初期の頃のものでだいぶ編集的には御見苦しい部分多いですが、第三回『津軽為信はどこから来たか』ですかね。もうだいぶ皆さん津軽為信は、今の岩手県久慈出身の南部支族の次男坊で認知されてるけど、今でも大浦宗家の縁戚説を信じてる人はいるみたいで、陰謀論みたく南部氏説は嘘だと言われることが極まれにある。
なので、どっちの言い分もちゃんと並べてみて『ここが嘘ポイントです』ってところまで、拾って解説した。その後の動画解説のパターンが出来上がった一作でした。
ギャグと歴史エピソードの融合に振った『九戸の乱、津軽と南部で場外乱闘?!』や、民話伝承の安寿と厨子王の安寿姫が岩木山の神様に昇華してしまった話の『雨と御山と姫の神』も短くまとめられたお話で気に入っていますが、どれか一つというとやはり為信の出自話でしょうか。
これからの方向性
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ずっと青森知識を共有し続けてきた妻がデザインしてくれた鷹丘美桜、若駒菊乃、二人のオリジナルキャラクターたちが出来てから、既存のキャラクターで解説をするよりだいぶ自由にやれるようになりました。だから、欲を出してちょっとずつそういうこともやりたいなという意図は出てきています。
でも私はカミに住んでる青森生まれだから、やっぱり多くの生で暮らしている青森の人たちの目や耳の早さにはどうしても及ばない。
そこに根ざしてる人たちへのリスペクトはしっかり忘れずに、でもカミから見た東北・青森文化の面白さ、逆に流行病も落ち着いて青森へ行こうって人への興味みたいなのも『見聞録』として紹介できたらいいなぁと考えはじめています。
《番外編》好きな歴史上の人物ベスト5
動画公開、1/22 18:00からです。
第二回公開が去年の二月だから相当寝かせていましたが『鳶の子-津軽信建異聞-』最終回を完成させました。本作は歴史解説でなく小説を合成音声で朗読させるコンテンツです。
歴史創作を許容していただける方、興味ありましたらご覧下さい。https://t.co/lLtzmpgMJr pic.twitter.com/FxSbMi476G— 東奥人 (@aoren119) January 22, 2023
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ここまでお読み下さりありがとうございました!
以上これで記事自体はお終いですが、僕と同じ歴史好きということで……訊いて見ちゃいました。定番の質問、『歴史上の人物で好きな人は誰ですか?』
ちなみに4位は僕の知らない人でした。この順位内の人を知ってる知らないであなたの歴史マニア度が分かるかも!?
同率1位 津軽為信/南部信直
「南部信直」(森嘉兵衛著 戎光祥出版刊)入荷です。昭和42年刊行、森嘉兵衛 さんの「津軽南部の抗争-南部信直-」の再刊。「戦国の北奥羽を制した計略家。津軽為信・九戸政実の叛乱や秀吉による奥州攻めなど、数々の苦難を切り抜け、近世盛岡の基礎を築いた実力者の波乱に富んだ生きざまを描く」 pic.twitter.com/QGhFn97Xed
— さわや書店本店 (@sawayahonten) November 22, 2016
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同列に扱わなければいけないという意味で、津軽為信、南部信直の両候はまず上げておきます。
歴史好きが高じるとややこしいもので、好きな人物の名を挙げると絶対にカウンターウェイトでその人物の恥や汚点て出る。でも欠点のない人間なんていないからそこもそれで好きになっていく。
為信は久慈生まれでありながら夢と野望とに燃えて、誰より津軽人になりきることで、民や部下を引っ張りついに津軽の領主となった。梟雄であるとはいえこんな人物はなかなかいない。
信直公は信直公で、南部晴政の養子という絶頂から廃嫡どころか抹殺寸前という崖っぷちを経験して、そこから天運もありとはいえ、南部宗家の座を勝ち取り、九戸一族にあわやというところまで追い込まれるも、日本全体の政治力学をいち早く取り入れてついに南部藩の祖となれた。九戸政実の無念も痛いほど分かるのですが、彼のサバイブ能力と政治バランスもあまり評価されないけどすごいと思います。
3位 大黒屋光太夫(だいこくや・こうだゆう)
こんにちは!#日本紅茶協会 です☕️
11月1日は「紅茶の日」
大黒屋光太夫が日本人として初めて外国の正式な茶会で紅茶を飲んだ、と言われていることから日本紅茶協会が「紅茶の日」と定めました。
大黒屋光太夫の波乱万丈の見聞録を蘭学者桂川甫周が《北槎聞略》としてまとめました📚紅茶と共にぜひ☺️ pic.twitter.com/ynFmvBMdA5— 日本紅茶協会公式アカウント (@JTeaAssociation) November 1, 2022
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江戸時代、伊勢の商人だった光太夫は海難事故で漂流したロシアで十年も生活をしながら、幾度もの絶望を乗り越え日本に帰ってきた。その初志貫徹する生きざまから。自分が歴史好きになったキッカケ、みなもと太郎のマンガ『風雲児たち』と、井上靖の『おろしや国酔夢譚』の影響ですね。
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4位 松江豊寿(まつえ・とよひさ)
文化◆1日、鳴門市の板東俘虜収容所で、ドイツ人捕虜がベートーヴェンの「歓喜の歌」を演奏する。アジア初の全曲演奏。収容所長の松江豊寿(とよひさ)大佐(45)は、人道的な人物として知られる。 =百年前新聞社 (1918/06/01)
▼「歓喜の歌」全曲コンサートのプログラム pic.twitter.com/wyxoLnYGw4
— 百年前新聞 (@100nen_) June 1, 2018
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第一次大戦当時、徳島の板東俘虜収容所の所長として、ドイツ人捕虜たちに人道的な対応をして、敬愛を集めた会津出身の松江豊寿。映画『バルトの楽園』きっかけでもありますが、彼の一族が明確にそうかは分かりませんが、彼の父祖の代は会津の賊軍として下北斗南で辛酸をなめたこともあり、その苦労があってなお人に礼と仁愛をもって接したことから。
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5位 米内光政(よない・みつまさ)
第37代内閣総理大臣 米内光政 (26人目)
無所属 岩手県 59歳
1940年1月16日-1940年7月22日(189日) https://t.co/vdPppvZm6x pic.twitter.com/nL2DkXjV5q— 歴代内閣総理大臣BOT (@pmoJ_bot) January 28, 2023
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最後は盛岡出身の海軍軍人で、総理大臣になるも倒閣運動を起こされ日米開戦を防げなかった。とはいえ、その後は終戦工作に奔走し、最終的に自らを育んだ日本海軍に終止符を打った米内光政。事績もそうですが、残っている酒豪のエピソードも好きですね。