青森市の「まちレポあおもり」に寄せられた雪相談を、今年度(2026/1/1〜1/24)と昨年度(2024/12/16〜2025/2/17)の2期間で比較すると、相談は毎年“同じ地区”に寄りやすい傾向が見えてきます。一方で今年度は、1/23に199件(今年度最多)という大きな山も発生。そこで本記事では、地区別の偏りを人口・年齢構成で補正しながら、「どこに集中しているのか」「今年度は何が変わったのか」を整理します。
※重要:本記事の相談件数は「投稿・相談の数」を地区別に整理したものです。危険度や優先度(緊急性)の順位を示すものではありません。そしてまちレポは「FixMyStreetJapan」を使う市の相談受付です。
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この記事ポイント
- 今年度(2026/1/1〜1/24)は計1,111件。最多日は1/23の199件。
- 今年度の上位地区は 新城/筒井/石江/桜川/奥野/大野。上位10地区で全体の約40%。
- 相談が固まる“二大ブロック”は今年度も健在: ・奥野・筒井・桜川(隣接3地区)=147件(13.2%) ・新城・石江(隣接2地区)=131件(11.8%) → この2ブロックだけで約25%を占める。
- 人口の影響は大きい(人口が多い地区は相談も増えやすい)。ただし、人口で割っても高い地区が残る=“地域要因”がある。
- 「若年が多い=投稿慣れ」説は強くは出ない。相談率(人口1万人あたり)と若年比率の相関は弱い。
- 昨年度との比較での最大の変化は、新城・石江ブロックの存在感が上がった点。
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1)データの範囲(2期間)

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- 今年度:2026/01/01〜2026/01/24(24日間)
- 昨年度:2024/12/16〜2025/2/17(64日間)
期間の長さが異なるため、本文では「総件数」だけでなく、必要に応じて人口1万人あたり(必要なら1日あたり)の“相談率”も併用して見ています。
※参考:シーズン全体は冬入り(12月中旬)からだが、本記事の地区別比較は1/1以降の同条件データで統一
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2)今年度はどこが多い?(地区別上位)

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今年度(1/1〜1/24)の上位は次の通りです。新城(76)/筒井(57)/石江(55)/桜川(48)/奥野(42)/大野(42)(以下、三内・浜田などが続く)。
ここで重要なのは、単に“上位が並ぶ”だけでなく、隣接する地区同士がまとまって多い点です。
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3)偏りの核は「隣接ブロック」──今年度も約25%を占める

出典:国土地理院(地理院地図)/加工:アオモリコネクト
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今年度の相談が固まるのは、主に次の2ブロックです。
- 奥野・筒井・桜川(隣接3地区):147件(13.2%)
- 新城・石江(隣接2地区):131件(11.8%)
合わせて約25%。 “点”というより“面(まとまり)”で出ているため、原因を考える際も「単独の町内」ではなく、生活動線や道路条件を含むエリア単位で見るほうが筋が良い、という示唆になります。
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4)昨年度も同じ構図だった──ただし今年度は「新城・石江」が伸びた

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昨年度(12/16〜2/17)の上位は筒井(217)/石江(129)/桜川(128)/小柳(121)/浜田(112)など。ここでも筒井・桜川・石江は強く、地域として“常連”です。
ブロックで見ると、
- 奥野・筒井・桜川(3地区):昨年度412件(12.9%) → 今年度147件(13.2%)(ほぼ同水準)
- 新城・石江(2地区):昨年度230件(7.2%) → 今年度131件(11.8%)(存在感が上昇)
つまり、「筒井・桜川周辺が強い」構図は継続しつつ、今年度は「新城・石江側の偏りが目立つ」という変化が起きています。
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5)今年度最多は1/23の199件──「積雪の急伸+生活動線の詰まり」が重なった日

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そして今年度の最大の山が、1/23の199件(今年度最多)です。雪の相談が急増するのは、「積雪が多い」だけでなく、短時間で一段悪化したときに起きやすい傾向があります。
除排雪が追いつく前に雪が重なる、生活道路でのすれ違い不能・スタック・轍化、朝夕の通勤通学動線が詰まる——こうした条件が同時に出ると、相談が集中しやすくなります。
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6)人口の影響は大きい。ただし「人口だけ」では説明が尽きない
今年度(2026/01/01〜01/24)上位5(人口2,000以上)+参考(筒井・新城)
| 順位 | 地区 | 雪相談件数 | 人口 | 相談率(1万人あたり) | 参考:1日あたり |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 長島 | 24 | 2,022 | 118.7 | 4.95 |
| 2 | 造道 | 24 | 2,060 | 116.5 | 4.85 |
| 3 | 奥野 | 42 | 4,285 | 98.0 | 4.08 |
| 4 | 桜川 | 48 | 5,520 | 87.0 | 3.62 |
| 5 | 松森 | 18 | 2,319 | 77.6 | 3.23 |
| 新城 | 76 | 11,319 | 67.1 | 2.80 | |
| 筒井 | 57 | 9,177 | 62.1 | 2.59 |
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昨年度(2024/12/16〜2025/02/17)上位5(人口2,000以上)+参考(新城)
| 順位 | 地区 | 雪相談件数 | 人口 | 相談率(1万人あたり) | 参考:1日あたり |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 長島 | 66 | 2,022 | 326.4 | 5.10 |
| 2 | 松森 | 75 | 2,319 | 323.4 | 5.05 |
| 3 | 西大野 | 89 | 3,592 | 247.8 | 3.87 |
| 4 | 筒井 | 217 | 9,177 | 236.5 | 3.69 |
| 5 | 桜川 | 128 | 5,520 | 231.9 | 3.62 |
| 新城 | 101 | 11,319 | 89.2 | 1.39 |
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地区別件数は、まず人口の多さに引っ張られます。これは自然な話です。ただし、人口で割った相談率(人口1万人あたり)で見ても上位が残る地区があり、ここがポイントです。
要するに、人口要因(人が多い→件数が増えやすい)に加えて、地域要因(道路・動線・除排雪の当たり方)が“上乗せ”されている可能性が高い、という整理になります。
注:他地域の人が別地域のことを指摘するケースもあるので、参考としてご覧ください。
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7)年齢構成(若年が多い=投稿慣れ)説は“強くは出ない”
| 若年比率Q(15–39歳) | 今年度 平均相談率(1万人/日) | 昨年度 平均相談率(1万人/日) |
|---|---|---|
| Q1(低) | 2.10 | 2.25 |
| Q2 | 1.44 | 1.96 |
| Q3 | 2.29(今年度で最高) | 1.96 |
| Q4(高) | 1.84 | 2.04 |
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「若い世代が多い地区ほど、アプリ投稿が増えるのでは?」という仮説も検証しました。ただ、相談率(人口補正)と若年比率(15〜39歳)の関連は、統計上強い相関になりませんでした。
- 今年度:相談率×若年比率の相関 0.10(弱い)
- 昨年度:相談率×若年比率の相関 0.02(ほぼなし)
若年層の多寡がまったく無関係とは言えませんが、少なくとも今回のデータでは、年齢構成だけで「ここに集中する理由」を説明するのは難しい、という結論になります。
前回記事では高齢者比率が高い地区ほど相談率がやや高い傾向と説明しましたが、新たなデータが加わった結果、決してそうとは言い切れないことが分かりました。
注:他地域の人が別地域のことを指摘するケースもあるので、参考としてご覧ください。
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8)次に効きそうなのは「道路・動線・除排雪」
年齢より説明力が出やすいのは、次のような要因です。現地に行けなくても、地図・道路情報・地形・生活動線から仮説を立てられます。
- 狭隘道路の比率(除雪車が入りづらい)
- 坂・カーブ・交差点(詰まりやすい)
- 住宅密度/雪置き場問題(敷地が小さい・路肩が埋まる)
- 幹線×生活道路の出入口(通勤通学で負荷が集中)
- 除排雪の優先路線(幹線優先の裏で生活道路が遅れやすい)
今年度に「新城・石江ブロック」が伸びたのは、動線と除排雪の“当たり方”が厳しく出た可能性があり、ここが次の検証ポイントとなるでしょう。
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まとめ
青森市の雪相談は、毎年ランダムに起きるというより、特定の地区(しかも隣接ブロック)に寄りやすい傾向があります。人口の影響は大きい一方で、人口で割っても上位が残るため、道路・生活動線・除排雪の地域要因が分かれば、より具体的に説明できそうです。
そして今年度は、1/23の199件が象徴するように、短時間で雪の負荷が跳ねた日ほど相談が集中しました。今後も同様の気象条件が出た際は、同じブロックで“困りごと”が再燃する可能性があります。
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人口と年齢層に関して参考にしたデータ:人口・世帯数等(住民基本台帳)より、
- 2-1_住所(小字)別人口集計表(R元年5月~)
- 4-1_住所別年齢別人口集計表_5歳階級別(R6年4月~)







