青森市が運用している「まちレポあおもり」に寄せられた雪の相談(2026年1月1日〜20日)を地区別に整理し、さらに地区別人口・年齢構成(住所別集計)と突合して、多い理由を検証しました。
※重要:本記事の相談件数は「投稿・相談の数」を地区別に整理したものです。危険度や優先度(緊急性)の順位を示すものではありません。
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この記事の要点
地区別の雪相談件数は、まず 人口の多さ(母数)の影響を強く受ける
ただし 人口で割っても(1万人あたり)相談が多い“上振れ地区”が存在する
隣接する 2つのクラスター(奥野・筒井・桜川/新城・石江)は、人口要因だけでは説明しきれない上振れが出ている
「若年層が多いから(アプリに慣れていて)相談が増える」よりも、むしろ 高齢者比率が高い地区ほど相談率がやや高い傾向が見える(ただし因果は断定できず、道路条件など他要因も十分あり得る)
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1) まず押さえたい:雪相談は「人口」と連動しやすい

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地区別の相談件数は、人口が多いほど増えやすい傾向があります。
そのため、件数上位(新城・奥野・筒井・桜川・石江など)は、まず人口(住む人の多さ)で説明できる部分が大きい、というのが出発点になります。
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2) ただし「人口で割っても多い」地区がある
件数を人口で補正し、1万人あたり相談件数で見ると、平均(この期間の全体平均は 約30.3件/1万人)より明確に高い地区が出ます。
小規模地区は率がブレやすいので、ここでは 人口2,000人以上に絞って“上振れ”を示します。
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人口2,000人以上:1万人あたり相談が多い地区(上位5)
| 地区 | 相談件数 | 人口 | 1万人あたり | 実績/期待(人口比例比) |
|---|---|---|---|---|
| 造道 | 19 | 2,060 | 92.2 | 3.04 |
| 長島 | 16 | 2,022 | 79.1 | 2.61 |
| 奥野 | 32 | 4,285 | 74.7 | 2.46 |
| 松森 | 14 | 2,319 | 60.4 | 1.99 |
| 中央 | 16 | 2,739 | 58.4 | 1.93 |
「実績/期待」は、“全地区が同じ相談率”だと仮定した場合の期待件数に対して、実績がどれくらい上回ったかの倍率です。
この表の地区は、単に人口が多いだけでなく、人口で割っても相談が多い=何か別要因が乗っている可能性が高い候補です。
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3) 隣接クラスターも「人口+α」の構図が濃い

出典:国土地理院(地理院地図)/加工:アオモリコネクト
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相談が多い地区は、地理的にも“かたまり”として見えます。
奥野・筒井・桜川(隣接3地区)
合計:90件/人口18,982人
47.4件/1万人(全体平均30.3件/1万人より高い)
人口比例の期待に対して 約1.56倍
新城・石江(隣接2地区)
合計:71件/人口18,805人
37.8件/1万人
期待比 約1.24倍
この結果から、両クラスターは「人口が多いから」だけでなく、道路条件・除排雪の入り方・生活導線など、地域側の条件が上乗せされている可能性があります。なお昨年度も奥野・筒井・桜川(隣接3地区)と新城・石江(隣接2地区)に相談件数が多い傾向がみられるタイミングがありました。
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4) 年齢構成(若年が多い=投稿慣れ)説は“強くは出ない”
表1:若年比率(15–39歳)の四分位別に見た「相談率」比較(人口2,000以上)
| 若年比率(15–39歳)グループ | 地区数 | 平均 15–39比率 | 平均 65歳以上比率 | 平均 相談率(1万人あたり) | 中央値 相談率(1万人あたり) |
|---|---|---|---|---|---|
| Q1(若年が少ない) | 11 | 19.02% | 36.19% | 36.07 | 30.60 |
| Q2 | 10 | 20.46% | 34.36% | 21.93 | 18.38 |
| Q3 | 10 | 21.63% | 32.39% | 36.49 | 32.83 |
| Q4(若年が多い) | 11 | 25.05% | 27.52% | 26.36 | 28.77 |
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「若い世帯が多い地区ほど、まちレポを使い慣れていて相談が増えるのでは?」という仮説は自然ですが、今回の突合では、少なくとも “若年比率が高いほど相談率が上がる”形にはならない整理になりました。
むしろ傾向としては、
15〜39歳比率が高い地区ほど相談率はやや低め
65歳以上比率が高い地区ほど相談率はやや高め
が見えています。
ただし、年齢が直接の原因と断定はできません。年齢構成は、住宅地の成り立ち・道路の狭さ・除雪優先路線・坂の多さ等とセットになりやすく、複合要因として捉えるのが安全です。
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表2:若年比率が高い地区の例(上位10、人口2,000以上)
| 地区 | 人口 | 15–39比率 | 65歳以上比率 | 相談率(1万人あたり) | 実績/期待 |
|---|---|---|---|---|---|
| 浪館 | 2,594 | 33.58% | 25.52% | 15.42 | 0.51 |
| 西大野 | 3,592 | 26.75% | 11.30% | 38.98 | 1.28 |
| 石江 | 7,486 | 25.87% | 29.36% | 32.06 | 1.06 |
| 浜田 | 6,621 | 24.51% | 26.10% | 27.19 | 0.90 |
| 沖館 | 3,147 | 24.40% | 30.22% | 3.18 | 0.10 |
| 浜館 | 3,322 | 24.20% | 28.33% | 21.07 | 0.70 |
| 緑 | 2,200 | 23.68% | 24.50% | 36.36 | 1.20 |
| 浪岡女鹿沢 | 2,482 | 23.41% | 32.88% | 36.26 | 1.20 |
| 大野 | 9,536 | 23.32% | 29.15% | 20.97 | 0.69 |
| 桂木 | 3,128 | 22.95% | 28.71% | 28.77 | 0.95 |
ポイント:若年比率が高くても、相談率が低い地区(例:沖館・浪館)もあり、全体として「若年が多いほど相談が多い」とは言いにくい。
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表3:若年比率が低い地区の例(下位10、人口2,000以上)
| 地区 | 人口 | 15–39比率 | 65歳以上比率 | 相談率(1万人あたり) | 実績/期待 |
|---|---|---|---|---|---|
| 赤坂 | 2,485 | 16.30% | 44.35% | 36.22 | 1.19 |
| 久須志 | 3,372 | 18.27% | 37.60% | 23.72 | 0.78 |
| 幸畑 | 6,360 | 18.62% | 38.85% | 20.44 | 0.67 |
| 南佃 | 2,479 | 19.00% | 32.88% | 8.07 | 0.27 |
| 原別 | 2,675 | 19.03% | 34.73% | 14.95 | 0.49 |
| 奥野 | 4,285 | 19.44% | 33.40% | 74.68 | 2.46 |
| 長島 | 2,022 | 19.44% | 38.58% | 79.13 | 2.61 |
| 岡造道 | 2,614 | 19.74% | 32.94% | 30.60 | 1.01 |
| 桜川 | 5,520 | 19.75% | 33.06% | 48.91 | 1.61 |
| 小柳 | 5,817 | 19.80% | 35.74% | 29.22 | 0.96 |
ポイント:若年比率が低い側にも、相談率が非常に高い地区(奥野・長島・桜川)が含まれます。
これも「若年が多いほど相談が増える」単純図式を崩す材料になります。
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5) なぜ1/8に相談が集中した? 1/8は「みぞれ→雪」で積雪が短時間で増えた日

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今回の期間で目立つのが 1/8前後の相談増です。
この日は、みぞれから雪へと移行し、短時間で積雪が増えた局面に当たります。
このタイプの日は、
湿った雪で除雪が重くなりやすい
出入口の雪壁化、生活道路の圧雪・わだち、交差点の視界不良が起きやすい
「幹線は通れるが住宅地が詰まる」状態が生まれやすい
など“生活の困りごと”が一気に増えるため、相談が集中しやすいと考えられます。
気象庁の過去データで、1/8の降水量(合計16.5mm、最大1時間3.5mm)が確認できます。
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まとめ
雪相談はまず 人口(母数)の影響が大きい
ただし 人口で割っても多い上振れ地区があり、ここに地域要因(道路・除排雪・生活導線など)が乗っている可能性
隣接クラスター(奥野・筒井・桜川/新城・石江)でも 人口だけでは説明できない上振れ
年齢構成は「若年が多いほど増える」ではなく、むしろ 高齢者比率が高い地区ほど相談率がやや高い傾向(ただし複合要因の可能性)
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人口と年齢層に関して参考にしたデータ:人口・世帯数等(住民基本台帳)より、
- 2-1_住所(小字)別人口集計表(R元年5月~)
- 4-1_住所別年齢別人口集計表_5歳階級別(R6年4月~)







