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作品概要
新井英樹による漫画『ザ・ワールド・イズ・マイン』は、1997年から2000年にかけて「週刊ヤングサンデー」で連載された異色の作品です。この物語は、主人公のモンとトシという二人の若者が、手製の爆弾を携えて東京から北上し、東北地方を舞台に破壊と混沌を巻き起こす様子を描いたものです。一方で、北海道から津軽海峡を渡ってきた巨大生物「ヒグマドン」が、東北各地で人間や家畜を襲撃しながら南下するというパラレルなストーリーが展開されます。青森県をはじめとする東北の風景が、物語の重要な舞台として活かされており、地方の静かな日常が一転して恐怖と混乱に包まれる様子が印象的です。
全5巻(オリジナル版)で構成され、テロリズム、怪獣、青春の狂気を融合させたアナーキーな作風が特徴。作者の新井英樹は、この作品で漫画界に衝撃を与え、後の作品にも影響を及ぼしています。物語は現実とフィクションの境界を曖昧にし、読者に深い余韻を残す内容となっています。
真説 ザ・ワールド・イズ・マイン|無料漫画(まんが)ならピッコマ|新井英樹
「真説 ザ・ワールド・イズ・マイン 1巻」新井英樹 [ビームコミックス] – KADOKAWA
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ストーリーのハイライト:東北巡りの旅路
物語の中心は、モン(本名不明)とトシ(23歳)の二人組。彼らは自作の爆発物を使って各地で爆破事件を引き起こしながら、北へ向かいます。出発点は東京ですが、物語が進むにつれて東北地方、特に青森県がキーとなります。青森では、トシが逮捕される事件が発生し、モンちゃんが警察署を襲撃して脱出を図るシーンがクライマックスの一つ。同時期に、ヒグマドンが津軽の小学校や周辺地域で襲撃を繰り返し、物語の二つの軸が交錯します。
東北各地の描写はリアルで、青森の雪山や大館市、津軽海峡などが登場。ヒグマドンは北海道から本州に上陸した超巨大熊として描かれ、体が膨張しながら南下を続けます。この怪獣要素が、テロリストたちの人間ドラマと並行して進むことで、物語に独特のスケール感を与えています。登場人物には、大館市の女子高生マリアも加わり、三人で東北を巡る滅茶苦茶な旅が展開されます。
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青森の舞台としての魅力
青森県は物語の重要な転換点として描かれています。青森西警察署での攻防戦や、ヒグマドンの襲撃事件がここで集中。津軽の厳しい自然環境が、キャラクターたちの絶望や狂気を強調します。作者は東北の地方性を活かし、都市部とのコントラストを描くことで、社会の歪みを象徴的に表現しています。この作品を通じて、青森をはじめとする東北地方の風景が、単なる背景ではなく、物語の核心として機能している点が評価されています。
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作者と作品の影響
作者の新井英樹は、この作品で漫画の常識を覆すスタイルを確立。後の『RIN』や他の作品でも、無茶苦茶なスケール感を追求しています。『ザ・ワールド・イズ・マイン』は、混迷の時代を反映したアナーキーな物語として、ファンの間でカルト的な人気を博しています。電子書籍やコミックサイトで入手可能で、再読する価値のある一冊です。
この漫画は、暴力描写が強いため、読む際は注意が必要ですが、東北の風土を独自の視点で描いた名作として、漫画史に残る存在です。東北巡りのロードストーリーを求める読者にオススメです。
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※本記事はフィクション作品の紹介であり、実際の事件や現実の野生動物被害を軽んじる意図はありません。







