「お絵描き看護師」SuMiRe.さんインタビュー:看護とイラストの両立、津軽の伝統に息づく創作の喜び

青森県在住のイラスト作家、SuMiRe.さん。看護師として忙しい日々を送りながら、色鉛筆画やねぷた絵風の作品を制作し、SNSで発信を続けている。Xアカウント(@S_u_M_i_R_eInstagramアカウント(s_u_m_i_r_e._)では、怖いけどかわいい幽霊画や津軽の文化をモチーフにしたイラストが人気を博している。2023年2月に絵描き専用アカウントを作成して本格的に活動をスタートさせたSuMiRe.さんに、活動のきっかけや両立の秘訣、地元愛について聞いた。

活動のきっかけ:似顔絵好きから津軽アートへ

SuMiRe.さんがイラスト作家として活動を始めたのは、人の似顔絵を描くのが昔から好きだったことが原点だという。「2年前、西の高野山弘法寺で行われた【津軽のArtをお寺から】が展示会デビューでした。きっかけは絵師たちとの出会いからです。平川ねぷたぬりえコンテスト受賞後に、松の湯交流館館長さんから絵を描いた方がいいとお声がけがあり、アクリル画を始め、SNSにアップ。その絵を観た津軽錦絵アート作家の仙安氏からお寺の展示会にお誘いを受けて、ねぷた絵風アートを始めました」。

これまでコンテスト参加を通じて創作の幅を広げてきた。平川ねぷたぬり絵コンテストでの2021-2022連覇や、ファミねぷ塗り画コンテストの最優秀賞・優秀賞、ダス犬コロリアージュコンテスト2022入選など、受賞歴も豊富だ。「平川のコンテストは観光協会主催で、画材は自由。ファミねぷも塗り方が自由でしたので、伝統的な色使いよりも自分が好きな色合いで塗ったり模様を描き加えたりが出来たので、とても楽しく取り組めました」。

コンテスト参加のモチベーションはシンプル。「元来『塗ってみたい』という思いが強いんです。現在活動をご一緒させていただいている山谷寿華先生や仙安氏は伝統とアートどちらも描ける方々で、私に足りない伝統や歴史の知識を惜しみなく教えてくださいます。私もハイブリッド絵師を目指したいと思っています」。

看護師とイラストの両立:限られた時間で創作を

看護師としてシフト制の仕事をする中で、イラスト制作をどう管理しているのか。「主にイラスト制作をするのは夜に限られます。子供が三人の子育て中で、家事が終わるのは10時頃。そこから3時間、居間のスペースを最大限使って夜中まで作業しています。眠る時間は4~5時間でしょうか」。

ユニークな肩書き「お絵描き看護師」の由来は、「どちらも一生かけてこなしていくという気持ちを示している。これからも変わらないだろう」とのこと。

津軽の文化を反映した作品:地元愛と技法のこだわり

SuMiRe.さんの作品には、青森県特に津軽地域の文化や風景が色濃く反映されている。「元々津軽地方の出身ではないものの、津軽の伝統工芸に興味があり、こけし職人の絵付けに魅せられた。顔と模様や色の違いで職人の個性や季節感までも表現できることに感動した」。

主に扱う技法は色鉛筆画、鉛筆画、絵の具、ねぷた絵風。「画材には特にこだわりはない。テーマに沿って、合うものを選んでいくだけ。しいて言えば和柄が好き。基本女性の絵が好きで、目・鼻・口など自分の中の黄金比も存在している」。

制作過程で一番楽しいのは彩色。「下絵⇒墨入れ⇒蝋⇒彩色と続くが、彩色が一番好き。苦手なのは墨入れて、線の勢いやかすれ具合を気にして緊張が強く、まだ線の遊びを楽しめません」。

最近の作品では、「怖いモノ展」で新たに幽霊画に挑戦。「常にやったことのないお誘いが来るので新鮮だ」。

イベント参加の感想:ファンとの交流と伝統文化

久渡寺の「怖いモノ展」では、仙安氏とのコラボで展示や御朱印会を企画。「お化けの絵をはかなそうなイメージで描いていった。来場者からはグロテスクの中に可愛さがあると感想が聞かれた。」。

イベントでファンや来場者と交流する際は、「なるべく顔を見て話したい。丁寧なお仕事を心がけているが、そればかりに集中すると下ばかり見てしまうので」と意識している。御朱印会の楽しい雰囲気は、来場者のみなさまと一緒に作り上げてもらっている、とのこと。

今後の目標とメッセージ

今後挑戦したいのは、「ねぷたに関わること。山谷先生のお誘いで浪岡本郷ねぷたの街印を描かせていただけたときは感激した」。

イベント予定として、「11月1~3日に、山谷寿華展に出展させてもらう予定」。

「今後も仙安氏や山谷寿華先生とご一緒に活動をしていきたい思いであり、2人の企画に華を添えることができるよう力を尽くしたい」。5年後の自分については、「下絵がなくてもすらすら描きたい。力強い線を描けるようになりたい。絵は仕事というよりは、趣味という要素を残して楽しく描いていきたい」。

これからイラストを始める人やファンへのメッセージ:「描けば描いた分、上手くなります。本物に触れることはとても大事で、いろんな絵を見る機会を作り、絵師さんとお話しできたら最高。技術や考え、絵に込めた思いなどたくさん刺激をもらえます。私の絵が好きだと言ってもらえてうれしいし、励みにもなる。かわいいなと思ってもらえるような絵を描き続けたいので、応援をお願いします!」。

SuMiRe.さんの作品は、津軽の伝統を現代的にアレンジした独自の魅力に満ちている。看護と創作の両立を続けながら、これからも青森の文化を広めていく姿に注目だ。

Author: かんから
本業は病院勤務の #臨床検査技師 。大学時代の研究室は #公衆衛生学 所属。傍らでサイトを趣味で運営、 #アオモリコネクト 。

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