日本相撲協会は2025年10月1日、元関脇で東十両12枚目の宝富士大輔(38、本名:杉山大輔、青森県出身、伊勢ヶ浜部屋)が現役を引退し、年寄「桐山」を襲名することを発表した。 宝富士は2009年1月場所に初土俵を踏んで以来、16年にわたり土俵を務め、連続出場1398回という歴代6位の記録を残したベテラン力士として知られる。
宝富士の引退は、秋場所での5勝10敗という成績を受けての決断とみられる。同場所では東十両12枚目として出場したが、近年は十両での相撲が続き、38歳という年齢も考慮された形だ。 引退発表と同時に、年寄「桐山」の襲名が承認され、今後は伊勢ヶ浜部屋で後進の指導に当たる予定。 青森県中泊町出身の宝富士は、地元では阿武咲とともに幕内力士として誇り高い存在だった。
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宝富士の力士人生を振り返る
宝富士は青森県立木造高校から中央大学に進学し、大学時代に相撲部で活躍。2009年1月場所で初土俵を踏み、2011年7月場所で新十両、2012年3月場所で新入幕を果たした。 最高位は関脇で、2014年3月場所に昇進。左四つ得意の取り口で知られ、安定した相撲で幕内上位を長く維持した。通算成績は幕内出場が93場所に及び、金星も3個獲得するなど、名力士としてファンに親しまれた。
特筆すべきは、初土俵以来一度も休場せずに出場を続けた連続出場記録。1398回は大相撲史上6位という偉業で、38歳まで現役を続けた耐久力と精神力が光る。 伊勢ヶ浜部屋の後援会も公式Xで引退を報告し、「長きにわたりご声援いただき、誠にありがとうございました」と感謝の言葉を述べている。
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ファンや関係者の反応
引退発表後、SNS上ではファンから惜別の声が相次いだ。日本相撲協会の公式アカウントが投稿した引退告知には、数時間で数千のいいねがつき、「お疲れ様でした」「長い相撲で若手を苦しめた姿が忘れられない」といったコメントが寄せられている。 あるユーザーは「左四つになれば安心だと思わせてくれる名力士」と振り返り、別のユーザーは「青森の誇り、親方として頑張って」とエールを送った。
地元青森県では、宝富士の引退が大きなニュースとなった。東奥日報によると、16年間無休で土俵に立ち続けた姿は、地元住民に勇気を与えていたという。 また、巡業でのファンサービスも好評で、餅まきイベントで全力投球する姿が記憶に残るファンも多い。
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今後の活躍に期待
宝富士の引退は、16力士の同時引退発表の一部で、大相撲界の世代交代を象徴する出来事だ。 年寄「桐山」として、伊勢ヶ浜部屋で若手力士の育成に携わることになる。部屋の後援会は「これからも温かく見守っていただきますようお願い申し上げます」と呼びかけている。
38歳での引退は遅咲きながらも、粘り強い相撲人生の締めくくり。ファンからは「いい親方になるはず」との声が多く、指導者としての第二の人生に注目が集まる。宝富士の土俵人生は、大相撲の伝統を体現するものとして、永く語り継がれるだろう。
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