パリ発、2025年9月10日 – フランスの首都パリで建設が進む高層ビル「Tour Triangle(トゥール・トライアングル)」が、日本の青森県民に馴染み深い青森県観光物産館「アスパム」(ASPAM)と驚くほどの類似点を持つとして、SNSを中心に話題を呼んでいる。両者の三角形(ピラミッド状)のシルエットが重なる姿は、日仏の建築文化の不思議な交差点を象徴しているようだ。
アスパムは、青森湾に面した1986年完成の76メートル高層ビルで、青森県の「A」をモチーフにした三角形デザインが特徴。観光情報や地元物産の拠点として、地元住民や観光客に愛されている。一方、Tour Triangleはパリ15区のPorte de Versailles近くに位置し、スイスの建築事務所Herzog & de Meuronが設計した現代的なピラミッド形の建物だ。高さ180メートル、42階建てで、総面積92,000平方メートル。ガラス張りの外観が光を反射し、台形のベースが底辺35メートルから頂上12メートルへ徐々に狭まるフォルムは、アスパムのシャープな三角形を彷彿とさせる。
このビルの用途は多岐にわたり、オフィススペースを中心に120室のホテル、コワーキングスペース、託児所、文化センター、健康センターを備える。建設は2021年末に開始され、2026年頃の完成を目指しているが、COVID-19後のリモートワーク増加や環境負荷をめぐる議論で一時的に注目を集めた。2014年に一度は市議会で拒否されたものの、2015年に承認され、2017年に建設許可が下りた経緯がある。
tour Triangle architectes Herzog et de Meuron Paris 15
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話題の発端は、X(旧Twitter)上の投稿だ。あるユーザーが建設中のTour Triangleの写真をアップし、「パリも青森に感化されてか観光物産館アスパム作ってるわ」とユーモラスにコメント。これが拡散され、多くの日本人ユーザーが「アスパムだ…間違いない」「パリの聖帝十字陵」などと反応を寄せている。 別の投稿では、2023年頃から「パリにアスパム⁉︎」と驚きの声が上がり、WikipediaのTour Triangleページを共有する動きも見られた。 これらのポストは、両ビルの視覚的な類似を指摘し、青森のローカルアイコンがパリのスカイラインに「移植」されたような面白さを強調している。
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建築専門家によると、こうした類似は1980年代以降のモダニズム建築のグローバルトレンドによるもの。Herzog & de Meuronのデザインはパリの伝統的な街並みに現代性を加える狙いがあるが、アスパムの機能性重視の三角形とは対照的に、Tour Triangleは都市再生の象徴として位置づけられている。とはいえ、SNSの盛り上がりは文化交流の新たな形を示唆する。青森のねぶた祭りの情熱が、パリのセーヌ川に届く日も近いかもしれない。
次にパリを訪れる際は、Porte de Versaillesへ足を運び、この「フランス版アスパム」の完成を待ってみては? 両者の意外なつながりが、旅の新たな発見になるはずだ。