【虹倉きりのアオモリライフ!】#18 メドツのヒミツ

物書きナレーターの虹倉きりです。

突然ですが、皆さんは「メドツ」なるものをご存知でしょうか?

河童の一種だそうですが、その姿は我々が知っているものとは若干かけ離れています。

 

これがメドツだ!

メドツの人形(八戸市博物館所蔵)

 

色は青く、ほんの少し猿顔。
頭の部分は皿ではなく、につつかれすぎて髪の毛が生えなくなったのだとか。

 

八戸市では2015年まで「メドツが出るぞ」の看板が設置されていたそうです。

 

なお現在は八戸市博物館に展示されています。

メドツの看板(八戸市博物館所蔵)

 

私、吸血鬼小説を書いている身でありながら……メドツのことを存じ上げませんでした。

知ったのは会社の上司の雑談がきっかけです。ちょうどその看板について話していたのですが……ぶっちゃけ、信ぴょう性に欠けると思ったんです。
というのも、上司が話していた相手が八戸出身の方でして。その人が「看板を見たことがない」と仰るんです。
確かに、今でも看板があれば珍百景登録になってもおかしくなさそうですし、ネットに投稿されれば間違いなくバズると思います。ですが、八戸の人が「知らない」と言っているわけですから、現在は存在しない可能性もあるわけです。

 

そんなある日。noteを見たらこんな記事が↓↓

「八戸市の文化施設探訪と青森市の現状」室谷洋司|青森太郎(ソウマ シンキチ)(note)

 

上司が話していた通り、メドツの看板は実在していました。そして相手の方が「知らない」と言ったのも合点がいったのです。

 

ところで、メドツの好物って何か分かりますか?

櫛引くしひき八幡宮には、メドツ誕生にまつわる伝承が遺されています。

 

江戸時代の名工・左甚五郎はひだりじんごろうは八幡宮建築の際に誤って柱を切ってしまい、川に投げ捨てようとしました。
すると柱は「捨てないでくれ」と懇願しますが……
甚五郎は「ケツでもくらえ」と言ってそのまま川に放り投げてしまったのです。
やがて柱は河童に姿を変え、人や馬を襲うようになりました。

 

襲うといっても闇雲にやるわけではなく……ケツを執拗に狙います。

もう一度書きます。メドツはケツを狙ってきます。

これについては甚五郎の一言が引き金となったそうですが、そもそも河童は尻子玉大好きですしきちんと言われたことを守っているから根は良い子ですよね。

 

それ以外の好物はきゅうりと相撲。一説では「水神様の名残」とも言われています。

 

おまけ:名物看板、ステッカーになる

Author: 虹倉きり
事務の仕事をしている物書きナレーター。アオモリコネクトではエッセイを毎週連載しています。

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