喫茶店があればついつい入ってしまう。入れないときは記憶に留めたり、店名や場所をメモしたり。都会とか田舎とか、店が小さいとか大きいとか、近くにあるとかないとかはあまり問題じゃない。そのお店独自の時間の流れや雰囲気を楽しみに行く。そこにしかないメニューも好きだ。一口大に9つに切られたハムサンド、五穀米のご飯に具がぜんぶ溶けたカレー、チェリーの乗ったクリームソーダ。定番メニューだって、喫茶店ごとに特徴的だ。出掛けた先でついつい探してしまう。
地域に関わる仕事をするために、10年ぶりに青森県にUターンしたのももう7年前。運よく採用されたのは三戸郡三戸町と言う町だった。え?生まれ育った八戸市と同じ県南地域にも関わらず、名前すら知らなかった町。初めての環境で慣れない仕事。接客のバイト経験はあったけど、めっちゃ人と関わる仕事。望んで始めた仕事だけど、流石にちょっとノックダウン気味だ。息抜きしたいな〜。
そんな時に流れ着いた喫茶店が土筆(つくし)。最初は駐車場も分からず、近くにハザード点けて停めてお店の人に聞きに行ったっけ。2、3度目かの来店時に、(何でそう言う話になったのかは分からないけれど)ママが「仮面ライダー電王ってめっちゃ面白かったよね。」と言ってきた。ハハッ、今まで町内のお店にはいくつか行ったけど、サブカルの話題をする人なんていなかったよ。メニューを見て昔自販機で買った不二家のレスカを思い出し、レモンスカッシュを注文。え?ハート型のグラスで出てきた。ハハッ、カップルで来たわけでもないのに。このお店では、冷たいドリンクをハート型のグラスで出すのが通常らしい。誕生日にクラッカーを鳴らされるような、予想だにしなかったママの話題とレスカのグラス。強張っていた肩の力が一気に抜けた。
|土筆|
青森県三戸郡三戸町二日町55