春きたる雰囲気をあなたに。#えんぶり を通じて郷土愛を知る。#階上町 #鳥屋部朳組

アオモリコネクト特派員のかんからです。

まだまだ雪は降るし寒いのがつらい日々が続きますけど、今年の場合は何かワクワクして過ごせてるような気がします。それはそのはず、去年や一昨年おととしとは違い断念をせざるを得なかったイベントやお祭りが行われるはず……!

ということでそんな象徴的なお祭りの一つ #えんぶり を取り上げてみたいと思います。

#えんぶり って何だろう

#えんぶりハッシュタグ – Instagram • 写真と動画

えんぶり(朳)とは、初春の神事として青森県八戸市一円を中心とする東北各地で広く行われる予祝芸能の一種である。

先端に鳴子板や金輪をつけた「ジャンギ」と呼ばれる棒を持って踊られるが、このジャンギが田植え前に田を均すのに用いる柄振・朳(えぶり)という農具に起源も持つものであるために「えんぶり」と呼ばれるようになったと伝えられる。

えんぶり – Wikipedia

 伝説も含め様々な説がありますが、鎌倉時代の始め、南部氏の祖・南部光行(なんぶみつゆき)が奥州の地にやってきた頃に始まったというのが通説。
奥州で迎える初めての正月、酒の勢いで抜刀乱舞となった家来たちの騒ぎを、機転を利かせた農民・藤九郎(とうくろう)がにぎやかに田植歌を歌い、農具を手に持って踊ることで治めました。この出来事が、えんぶりの起源だと言われています。
その後、明治時代に入ると、えんぶりがいかがわしい習慣であるとして禁止されましたが、当時の有力者・大沢多門によって長者山新羅神社の「豊年祭」という形で復活を遂げ、現在に至ります。

“えんぶり”とは? | VISIT HACHINOHE | VISITはちのへ観光物産サイト

残念ながらコロナ禍によって #えんぶり は中止されてきましたが、2023年は無事に行われる予定です!

令和5年八戸えんぶり行事日程【令和5年2月17日(金)~20日(月)】 | VISIT HACHINOHE | VISITはちのへ観光物産サイト

#えんぶり の練習現場に取材

今回取材を快く引き受けてくださったのは #鳥屋部えんぶり組 さま。大変お世話になりました。階上町の某所で毎週木曜と日曜に集まって練習を行っております。多くのえんぶり行事が2月17日から20日に行われる中、一歩早く2月5日に初陣だということもあって、練習に熱が入っているようでした。

メンバーは高校生までがおよそ10名、大人がおよそ30名の併せ40名で構成されています。学校帰り、または会社帰りに集まって、まずは雑談から始まりました。ほとんどのメンバーがそろった頃に #えんぶり烏帽子 の前に整列します。

練習はしっかり着実に

『次OOやるぞ~』という掛け声があるわけではなく、すでにみんな知っている決められた順番で練習は行われていきます。#えんぶり は決して烏帽子を付けて踊るだけではありません。八戸南部地域以外にお住いの人からすれば、そのようなイメージしかないかもしれませんが……。

いわゆる大黒や恵比寿などにふんして行われる祝福芸も、えんぶりを構成する立派な芸能です。

およそ1演目毎に10分練習、間に小休止を挟みながらまた10分を繰り返します。小休止の際には先輩方のアドバイスやちょっとした雑談も行われています。決して厳しい世界というわけではなく、メンバーの言葉を借りれば『みんな兄弟かのよう』。そんな風になごやかなムードな現場でした。

メンバーの感じていることは?

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まずは年少の方々を中心にコメントを頂きました。

『お客さんに “良かった!” と言ってもらえるように、一緒に楽しめたらいいなと思います。』

『本番は言葉で表現できないくらい緊張する。お客さんが多いほど緊張する。』

『練習はみんなと楽しくおしゃべりできるのは好きなんだ♪』

そして中学高校生はどんなことを感じているでしょうか?

『昔から祭りが好きで、郷土芸能に関われることに価値を感じでいます。』

『寒い中やるのは大変ですけど、見た人が元気になってくれるように頑張りたい。』

『進学や就職でこの場所を離れるかもしれないけど、そうでもない限りは決して辞めたいとは思わない。』

そして成人すると、こんな楽しみも。

『小さい頃から17年間も続けてます。そんな中でお酒が呑めるようになって、他の組の方とも とことん語りあえる様になったのが良かったと思っています。過去を振り返って “ここの場面イイよね” “この時こうだったよね” なんかを話のタネにして、これからのえんぶりについても意見しあったりしてます。』

今年のえんぶりは3年ぶりです。しばらく練習も出来ない期間もあったため、年少の子にとっては一から学び直さないといけない事態に陥りました。そういう立場ではなくても、体が鈍っていたりして思うようにいかないこともありました。でも幾度と繰り返された練習を経て、いよいよお披露目です。

不安な面はあるし緊張もしているとメンバーの方々はおっしゃっていましたが、きっとそれら全て乗り越えて素晴らしいモノを見せてくれるはずです!

ぜひ現地でその目で、記事をお読みの皆様には #えんぶり を味わって頂きたいなと思います。

鳥谷部えんぶり組 行事予定

23/02/05(日)     ワッセ早生えんぶり祭り・大持寺 ⇐終了

23/02/12(日)     門付け(指定の会場はありません)⇐終了

23/02/17(金)~20(月) 八戸えんぶり

23/04/02(日)     南部芸能

《番外編》ちょっと気になったことを訊いてみた

烏帽子のデザインについて

春を呼ぶ祭り「えんぶり」は、明治時代以降に八戸地方で民俗芸能として定着した豊年満作を祈る「田遊び」と呼ばれる神への祈願行事である。
太夫と呼ばれる舞い手が、えぶりという農具を手に、田の土をかきならす所作をする。その太夫がかぶる鶴、亀、松、竹、梅、えびす、大黒などのおめでたい図柄で飾られた烏帽子が、えんぶり烏帽子である。

えんぶり烏帽子(えんぶりえぼし) ”Enburi” Festival Hats – はちのへヒストリア (historia8.org)

書籍でお読みいただくのが詳しいかと思いますが、簡略に説明をいたします。

烏帽子の形は当地域が馬の産地であることから、馬頭の形に発展したようです。つまり外側のなでらかな丸い部分は馬のたてがみを表しています。側面に描かれている模様は “演じる役割” によって異なります。例えば代表的な役割である藤九郎は、馬が稲を植え付ける前の田んぼを耕している姿が描かれています。あとは……烏帽子を作る職人による味わいでしょうか。

左からジャンギハバキ三味線。えんぶりは様々な道具によって彩られている。

烏帽子を付けている時、めまいはするの?

烏帽子を付ける前にタオルを巻いている。

あまり訊かれそうで訊かれてこなかったお話かもしれません。

演じている時に落ちないように、烏帽子をきつく締めつけ過ぎると15分ほどでめまいがしてくるそうです。もし失神でもされたら祭りどころではなくなるので、適度に抑えておくことが肝心。5回もそんな状態で演じていれば立てなくなるらしい……?そういう時は一歩足を出して踏ん張ると良いとのこと。

ちなみに烏帽子の重さは1キロいかないくらいで、昔に比べれば軽くはなったものの、これをつけて演じている苦労も忍ばれます。

ネット初公開、えんぶり烏帽子の中

変幻自在なる #すられ という道具

最初は長方形、時には楕円を描き、釣り竿のようにも変化する不思議な道具……。なんだか気になりませんか?

 

竹を30本以上束ねて作られた #すだれ という道具は、観衆から見れば変幻自在に動いているかのように感じるものの、その実は一方向にしか動かせないという制約があります。でも互いを結んでいる紐をひっくり返すことにより正反対に向かせることはでき、その特徴によって楕円や釣り竿の形などが作れるようになっています。

躍動と共に、春を迎える

これまで #えんぶり を取材した人は多くおられるでしょうけど、練習風景を記録に留めようと思った人は中々いないと思います。ある意味で観衆が見ているであろう “本番” も一つの姿ですけど、それが成されるまで非常に多くの積み重ねがあるという事実。その姿も記録に留めることにより、えんぶりの魅力はもちろん、伝統芸能の真の楽しさみたいなものを理解出来たらなと考えています。

えんぶりの 演じる心に 輝きや 寒きをとかす 春待ち焦がれ

詠み人不詳

Author: かんから
本業は病院勤務の #臨床検査技師 。大学時代の研究室は #公衆衛生学 所属。傍らでサイトを趣味で運営、 #アオモリコネクト 。

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