https://aomori-join.com/2022/08/15/aomori-jinryu/
アオモリコネクト特派員のかんからです。 3月13日に『今年のねぶたはやります!』と報道されて以降、コロナ禍におけるホテル料金がどのように変化するかを見張って参りました。これは個人的な興味もさることながら、社会科学の一材料として後世に残しておくべき事柄に違いないからです。SNS上で現動向を逐一ご報告させて頂いてたわけですけど、特にFacebook上で興味を持ってくださる方が多かったのかなと思われます。 例えば元々100人程度しかメンバーがいなかった青森市のモノ・ヒト・コト情報掲示板ですが、独占配信を始めて以降4カ月の間で約200名が新たにメンバーが加わり、現在299名となっております。青森市民の純粋な興味はもちろんのこと、遠くからねぶたを観にやってくる旅行客にとっても大切な情報になったに違いありません。 さて……ねぶたも無事にかどうかは分かりませんけど終わったわけですし、今年の総評に参りましょうか。
ねぶたの価値を如何に見出すか
Twitter @marketmaker7 より画像引用 ・
全国の祭りのプロモーションなどを行う会社「オマツリジャパン」(東京)と青森県が1日1団体限定100万円で提供する、青森ねぶた祭の特別観覧席が5日、お目見えした。県外から訪れた最初の利用客8人は、目の前で動き回るねぶたに歓声を上げ、高級感あふれる特別な一夜を満喫した。
青森ねぶた100万円観覧席、プレミアムな一夜|文化,観光・イベント,行政・政治・選挙,経済・産業・雇用|青森ニュース|Web東奥 (toonippo.co.jp)
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3年ぶりの開催となる青森ねぶた祭を、特別な時間と空間で。 洗練された空間演出と厳選した青森のお酒と食のペアリングセット、そしてねぶた文化を継ぐ担い手の想いに触れながら観る特別な観覧体験をご提供いたします。
実際に運行されたねぶたの彩色和紙で作られた照明「KAKERA」やミニねぶた等を各所へあしらい青森ねぶた祭の世界観を表現。ゆったりとくつろぎながら観覧できる空間をご用意しました。
・ つまりは100万円という価値の創出をねぶた祭りは成し得たわけです。売り手がいても それを求める買い手がいなければ成立しないことですし、実際にねぶたを十分楽しめたのなら申し分ないことかと思います。 お祭りにどれだけの価値を見出しうるか、逆にどこまで値段を上げても互いに納得のいくレベルといえるのか……そこは常に考えなければならない課題です。高く値段を設定するのならそれ相応のサービスをいかにしてプラスするか。普段とは違うリッチな料理だったり土産物を付ける等の努力をする宿泊施設はあるものの、一部の宿泊者にとってみれば『そんなものにお金を使わなくてもいいから宿泊料金を下げてくれ』となってしまいます。仮に土産物が “OOOの限定品、このホテルでしか手に入らない” であればプレミアがついて話は違ってくるのですが……。逆に今年プランとして出て欲しいと思っていたのが “宿泊料は高いですが、2割をねぶた運行団体へ寄付します” という設定。去年は一部ホテルで検討されていたものの、今年は僕が探した限りでは……販売の確認が出来ておりません。個人的にはイイ設定だと思うんですけどねー。宿泊者にしてみても自分が『祭りに貢献してるんだ!』という意識が持てて、非常に有意義なはずです。
2022年客室料金の動向
・ 予約サイトagodaで販売されている各ホテルの最安値をまとめました。主にシングルタイプの客室が中心となっていまして、販売価格を去年同日と比べてみると……
【アパホテル 青森駅東】
2021年4月27日付
最安値46,507円⇒2022年同日最安値29,820円
【アパホテル 県庁通】
2021年4月27日付
最安値47,300円⇒2022年同日最安値31,880円
【JALシティ青森】
2021年4月27日付
最安値48,956円⇒2022年同日最安値107,599円
という様にホテルによって傾向は異なる結果となりました。一応JALに注釈を入れておくと2022年初発販売時の最安値は5万円台で販売をしており、安い客室を中心に売れた結果値段が吊り上がったのか、料金レートを強気に改正したのか……販売されている客室タイプまで情報を抑えていないので、そこまでは不明です。 ・ ・ 対してこちらは各ホテルの最高値をまとめた表です。最高値は主にダブルやトリプルルームといった部屋に対して宿泊人数の多く泊まる客室が中心です。去年同日と料金を比較すると……
【アパホテル 青森駅東】
2021年4月27日付
最高値65,500円⇒2022年同日最高値35,599円
【アパホテル 県庁通】
2021年4月27日付
最高値59,300円⇒2022年同日最高値37,880円
【JALシティ青森】
2021年4月27日付
最高値161,052円⇒2022年同日最高値136,807円
ということで、どのホテルも軒並2~3万円値段を下げていることが分かります。詳しくは去年時の料金設定を載せている過去記事をご覧いただきたいところですが、かつては20万30万40万円台の客室が普通に販売されていた現実がありました。この記事のテーマでもある “お祭りにどれだけの価値を見出しうるか” という観点から申し上げれば、そのホテルがねぶたでどれだけ稼ごうとしていたかという意欲が強く伝わる一方で……今年に至ってそれらが全て消え失せたという事は……”ねぶた” というお祭りの価値がコロナ禍の影響で下がったとも言えるし、アオモリコネクト・陸奥新報・日本経済新聞での関連報道によって “客室に対する料金価値のつけ方” が見直されたのだろうと思います。
https://aomori-join.com/2022/03/18/nebuta-hoteru-geraku/
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タイミングによる販売状況
・ ここで改めて注釈を入れておくと、青森市のホテルレート表では浅虫と八甲田の宿泊施設は除いております。これは市街地のホテルとは性質が異なり、明らかに観光向けのホテルとビジネス系を同列に扱うのは本来の目的にそぐわないと考えるからです。 ではタイミングによっても販売状況が異なった #ねぶたプラン でございますが、詳しく解説していきたいと思います。基本的に早め早めに予約してしまった方が安心かな……? ・
① 3/13(日)にねぶた開催報道がされて以降、多くのホテルが精力的に客室の販売開始をした。市街部では最大10社による熾烈な争いはありつつも、まだキャンセル料規定は緩いままで、ホテル側もねぶた開催へ懐疑的だったとも言える。
② 4月中旬となり旅行業者による客室仮押さえも活性化。ホテル側も次第に強気へと変化し、需要の高まりとともに価格帯も上昇。
③ ゴールデンウィークに入り、時間的余裕の生まれた一般客による予約殺到で完売状態に。
④ 多くのホテルは一度に全ての客室を販売せず、何回かに分けて売る。コロナ感染拡大もなく、ねぶた開催機運が高まる。というところで #東横イン が料金荒らしを開始し、他社もそれにつられて料金を下げ始めた結果、一気に予約が埋まった。
⑤ 客室の完売状態が約1々月間続いた。それでも市街から離れて山に登れば空室はあり。隣の五所川原は残り僅かで、八戸は部屋が埋まってきてるものの値段は安いまま。夜中戻るのがそんなに苦でなければ狙い目?ネットで “ねぶた” “ホテル” で調べると、予約が取れなかった人たちの阿鼻叫喚が聴こえてくる……。 ⑥ 新型コロナ感染の急拡大(=第7波)によりキャンセルが多発。例年この時期に宿泊者側の日程不都合などによりキャンセルは出るものの、販売規模からいえばコロナ禍の影響とみるのが自然だろう。そして臨時キャンプ場は行わないが #あおもり健康ランド での宿泊は可能ということで、結果として客室は飽和状態へと進む。
・ ・ こちらは宿泊施設毎に販売プランの最高値を週2回確認した延べ数を基にして算出しました。つまり何が言いたいかというと、これによってホテル側がどの時期で強気に販売していたかが分かります。青森弘前は5月に強気で販売していたのは共通しています。 このように算出できている訳はagodaが他予約サイトと比べて少し特殊なせいで、楽天やじゃらんであればプラン毎にキャンセル規定が用意されていて、例えば “OO日前まで50%、3日前まで70%” というように掲載されています。一方でagodaは部屋タイプごとにキャンセル規定が設定できるので、高い料金の客室を中心にキャンセル規定を厳しくする傾向がホテル側にはあります。なので結果的に強気度が販売に反映されやすいわけです。 ・ ・ 弘前はねぷた開催の報道がなされた5/11(水)以降のデータを、八戸は三社大祭に関する縮小開催の報道がなされた4/22(金)以降のデータです。八戸に関しては無作為に6社を選んで調査しました。レートを見張ってて感じたのは八戸のホテルメッツの人気ぶりで、このホテルは新幹線の通ってる八戸駅と直通だけあって、青森でねぶたを見た後で八戸に泊まろうという考えで予約が殺到したものと思われます。
ねぶた開催中の動向
・ つまりこの表でいえば数が少ないほど完売が多く需要が高い、数が多いほど空室が多く需要が低いという状態を示しています。 今回はコロナ禍での開催だけあって、いつもなら予約が不可能に近いホテルでも直前まで販売されておりました。それでも金曜土曜は人気が高く、結果として祭りの人出も多かったのではないでしょうか。 ただ最後まで埋まり切らないというのは……少しモノ哀しいような気もしますね。
来年に向けてやるべきこと
Twitter @happy_alien77 より画像引用 ・ 会期中の人出は105万人。コロナ禍以前の2019年に比べ180万人減った。とのことで報道されていますけど、ほか様々な点で至らなかった部分もあり、これから総括していく段階でしょう。 社会はわざわざ意識しなくても “withコロナ” に突き進んでおります。そんな中で僕を含めてみなさんは各々の納得がいく行動と責任を負うことになります。 正直来年はどうなっているかなんて分かりません。でもその時に思う存分に心配事なくお祭りを楽しめることを願っております。
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