青森からの旅行。旅行目的が温泉と食べ物なら浅虫で十分
青森から近い所で有名な所と言えば…秋田、岩手といった所。片道最低でも3000円+ガソリン代。函館は船や新幹線を使うので1万以上は軽く飛ぶ。
この金額を宿代や飲食代に回すことが出来れば…と過去に何度考えた事か。
青森には素晴らしい温泉宿のスポットがある。正直に言うと、昔より勢いが衰えている場所ではあるが……かつては東北の熱海と呼ばれ、遊園地まで営業していた「浅虫温泉」である。最近になりこの場所の魅力に気が付いて、今まで自分は阿保だったのだろうと嘆いた。
なぜ、気付けなかったか‥‥近場の温泉宿ってわざわざ泊まる意味あるのかなと体験もせず偏見の塊で生きてきたが、年を取ってからこの近場旅行のメリット、浅虫が近くにある良さを痛感した。自分のような愚か者を増やさぬよう今日はここに色々記載していこうと思う。
浅虫は再認識と再発見をされるべき、旅館好きの為のオアシスだ
観光地めぐりを主に目的とするなら、ベッドでユニットバスだけ完備されているビジネスホテルが良い。最近だと朝食バイキングサービスが付いてお手頃価格なので、散策前の腹ごしらえに丁度良かったりする。何気にクオリティも悪くは無いしね。
それとは反対に、旅館で過ごす時間、疲れを癒やしながら楽しむのを目的とする旅行。
例えば畳の匂いが優しい和室で大の字に寝転がり……ちょっと熱めで贅沢な源泉かけ流しで温まり、近場で採れた海の幸や和牛を食し、飲み足りないなら旅館の売店にある地酒で一杯か近場の居酒屋へ。これ以上の贅沢があるだろうか?
幸いこの素敵なプランは浅虫で実現できてしまう。これに「あぁ良いなぁ」と感じたのであればこの先に書いてある実体験を読むと他県に行く必要無いと感じてしまうだろう。
疲れを取りに行く為に100キロ離れた他県へ車や船に揺られて……疲れをとるために疲れに行く必要は全く無い。
実際に宿泊し、料理・温泉を堪能してみた。その記録。
過去に2回浅虫の老舗旅館へ宿泊した。酒やご飯が美味しく、源泉かけ流しを心行くまで堪能してきたせいか今後も止められなくなりそうだ。
柳の湯
ここは温泉の種類があり、男湯女湯が時間帯でチェンジする。温泉の種類といっても寝そべりジャグジー等ではなく、露天風呂を堪能できる時間、御湯殿と呼ばれる250年前からの総ひば造りの内風呂を楽しむ時間に分かれているので、是非時間を分けて入ってほしい。
寒い時期に熱い風呂にぎゅっと入り寒さをしばらく忘れたいという願望を一瞬で満たしてくれるほどひば風呂は熱い。だが……それが良い。
風呂の後の夕食では食べきれないほどの量が出る。うに鍋、青森県産牛の味噌香草焼き、刺身、カニ、真白子ポン酢、なまこ酢、なます、ほたて焼き……すべてを食べ切るまでにかなりの時間を要した。こんな機会滅多に味わえないので、どれだけ時間を掛けても全て頂いてしまおうという気持ちで食べ切った。おかげでしっかりと旅館料理を堪能することが出来て大満足。
旅館の売店コーナーは必ずと言っていいほど良い地酒が揃っている。青森と言えば田酒、日本酒好きが恐らく一人で四合瓶を空けられるほど……瓶底に穴でも空いたか?なんて冗談まで出る程この酒は美味い。
できればスナック菓子やサラミのようなつまみではなく蟹缶やホタテ貝柱と一緒に飲んでほしい。飲めばわかる。
個人的にはこのあたりのアテがあれば最高かな。白子は紅葉おろしが欠かせない。
辰巳館
辰巳館は客室からの海の眺めが最高だった。この景色をアテにして飲む酒はまた別格だが、気が付いたらもう酒が無い!なんてことに。
そんな時の為に昔ながらの面白い自販機があるのだが……
うーむ……
この手の自販機の飲み物は通常価格より百円以上高い。
それでも子供の頃は憧れて勝手にオレンジジュースを出しては親に叱られたものだ。非日常ってどの年齢になっても物を美味しく楽しくしてくれるスパイスなんだと思う。
ちなみにだが、ここの売店でも田酒の純米と焼酎が売っていた。本当に珍しい…
大浴場自体は柳の湯のように数は無いが、少し熱めの風呂は体の芯から吹雪で凍えた体を温めてくれる。そして、ここから爽快な気分で部屋出しの夕食をたっぷりと堪能させてくれる心の準備を手伝ってくれるのだ。
硫黄臭い香りが苦手な方はここの単純泉がいいと思う。
上からアワビの踊り焼き、県産牛のすき焼き、すり身のしんじょう、みそ仕立て海鮮鍋
確か夕食の時点でビール焼酎ハイボールが計7本程度消費された記憶。刺身や焼き物なんかもあるので、食べる物には完全に困らなかった。ビジネスホテル泊ではちょっと買い食いに……なんて時間が必ず出来るが、この旅館ではこの料理以降別に何も食べなかったし、特にいらかなかった。この旨味の体験を安っぽいスナック菓子で上書きしたくなかったからだ。
あんこうのとも和えだけで日本酒2合は余裕で飲めるが、今日だけはちびりちびり何て事はしない。自分に対してのご褒美は豪快に頬張るべきだ。
良く焼けたアワビはバターを載せて……生のままが好きだが、焼き過ぎない程度「レア」であれば固すぎずむしろこちらの方が好みかもしれない。
キモを食べた事が無かったが、バターの風味もあって気にならなかったし美味しく食べられた。
料理は此方の旅館が好みかな。
少し酔ったが、息子と卓球をしてその後にまた飲んだレモンサワーが最高だった。2人以上で来て卓球をすることをお勧めする。
その他、最近浅虫界隈では飲食店が盛り上がっている。
スパイシーカリー
https://www.448108.com/spicycurry/index.html
浅虫コリドー
アプリコット
https://www.instagram.com/apricot_asamushi/
鶴亀屋や正立食堂、その他諸々の昔からの浅虫グルメはさておき、最近はこんなお店も増えてきた事も有り浅虫の飲食は少しづつ盛り上がりを見せ始めている。部屋出しの御前も楽しみだが、外で食べるご飯も充実しているので少し早めに浅虫に到着してお昼ご飯を食べに行っても良いと思う。
また、宿泊しないホテルの温泉に日帰り入浴でお邪魔するという方法もある。来年また来るときに温泉や宿の雰囲気を参考にするに丁度良いだろう。ちなみに自分は次は宿屋つばきに泊まってみたい……
画面越しに良い香りがしてきそうだ。温泉の後に食べるコレは絶対たまらん。
これを聞いてもまだ、県外に行きたい?
もう一度言うと、温泉と美味い飯が目的であれば浅虫も十分選択肢に入るはずだ。「いや、浅虫行くより県外行くのが楽しいじゃん!」って言う人も中にはまだ居るだろうが、それは県外に行って非日常を味わいたいという目的なので、それはそれで楽しみに行けばいいと思う。
ただ、浅虫も蛍鑑賞、釣り、海水浴とアクティビティが豊富にあるので非日常体験をするという点でも十分勝負になっているはず。
自分と同じ30代オーバーの皆には特に言いたい。
「無駄に金を使って移動するより、青森のこういう素晴らしい施設でのんびり頭を空っぽにして過ごそうじゃないか」
(文:ゲンサン)